本当の学力指標

北海道の中学生なら知っておきたい「道コン」の基本

北海道の中学生にとって「道コン」という言葉は、とても馴染み深いものです。
正式名称は「北海道学力コンクール」。全道の4割もの中学生が受験する、30年以上の歴史を持つ北海道最大の公開模擬試験なのです。

合格親方すどう合格親方すどう

私も高校受験生のときに道コンを受験しました!
冬期講習中に道コンを受けたときは塾のみんなでハチマキをしたのは良い思い出です。

お母さんお母さん

うちの子の内申ランクはどうなんだろう⁈


お母さんお母さん

志望校にはちゃんと合格できるのかしら⁈


合格親方すどう合格親方すどう

お母さんとしては心配なことってありますよね・・・

実は、高校入試において内申点(内申ランク)だけを見ていては、本当の学力や合格可能性を正確に把握することはできません。道コンには、内申ランクでは見えてこない大切な学力指標が含まれているのです。

北海道学力コンクールの試験会場の様子

私は30年以上にわたり、1万組以上の親子と向き合ってきました。その経験から言えることは、内申点だけでは見えない「本当の学力」を知ることが、受験成功の鍵を握るということです。

今回は、道コンの結果から読み取るべき本当に重要な学力指標について、具体的にお伝えしていきます。

内申ランクの落とし穴とは?

まず、多くの保護者が気にされる「内申ランク」について考えてみましょう。内申ランクとは、中学校での成績を5段階で評価したものです。

お母さんお母さん

うちの子は内申ランクはCだから大丈夫!

こんな声をよく耳にします。確かに内申ランクは高校入試において重要な要素です。しかし、これだけを頼りにするのは非常に危険なのです。

内申点計算表と成績表

なぜなら、内申ランクには次のような大きな落とし穴があるからです。

  • 学校によって評価基準が異なる
  • 定期テストの難易度が学校ごとに違う
  • 同じランク4でも、上位と下位では実力に大きな差がある
  • 内申点は「相対評価」の要素が強く、同じ学力でも学校によって評価が変わる

例えば、学力レベルの高い中学校では、実力があっても内申ランクが3になることもあります。逆に、学力レベルがそれほど高くない学校では、平均的な学力でもランク4がつくことがあるのです。

つまり、内申ランクだけでは、お子さんの「本当の学力」や「志望校への合格可能性」を正確に判断することはできないのです。

では、何を見れば良いのでしょうか?

それが「道コン」の結果に表れる客観的な学力指標なのです。

道コンで見るべき重要指標①:SS(偏差値)

道コンの結果で最も重要な指標の一つが「SS(偏差値)」です。SSとは、全道の受験者の中での相対的な位置を示す数値です。

内申ランクと違って、SSは全道共通の基準で測られるため、どの中学校の生徒でも公平に比較することができます。

道コンの成績表とSS偏差値のグラフ

例えば、内申ランクがCでも、道コンのSSが60を超えていれば、実力は十分にあると判断できます。逆に、内申ランクがAでも、SSが50を下回っているようであれば、本当の学力は思ったほど高くないかもしれません。

ある生徒さんの例を挙げてみましょう。

Aさんは、学校では内申ランクがDで、担任の先生からは「もう少し頑張らないと志望校は厳しいかも」と言われていました。しかし、道コンでは一貫してSS65以上をキープ。結果的に最難関の第一志望校に合格しました。

合格親方すどう合格親方すどう

内申ランクがいわゆるボーダーランクに足りなくて、他の教室では絶対に合格できないと言われていても、当日に実力を出し切って志望校合格を勝ち取った生徒さんをたくさんみてきています!

内申点よりもSSの方が、実際の入試での得点と相関関係が高いのです。

SSの見方と活用法

道コンのSSは、次のように活用しましょう。

  • SS60以上:上位校を狙える実力あり
  • SS55〜59:準上位校の合格圏内
  • SS50〜54:中堅校の安全圏
  • SS45〜49:基礎固めが必要
  • SS44以下:基礎から見直す必要あり

大切なのは、一回のSSだけでなく、複数回の道コンでの推移を見ることです。SSが徐々に上がっていれば、学習効果が表れている証拠です。

お母さんお母さん

でも、SSだけを見ればいいの?

いいえ、SSだけでは不十分です。次に見るべき指標があります。

道コンで見るべき重要指標②:合格可能判定

道コンのもう一つの重要指標が「合格可能判定」です。これは過去の入試データを基に、志望校への合格可能性を判定したものです。

北海道の高校入試では、内申点と当日点の合計で合否が決まります。道コンの合格可能判定は、この仕組みを踏まえた上で、あなたのお子さんが志望校に合格できる可能性を示してくれるのです。

合格可能判定は通常、A〜Eの5段階で表示されます。

  • A判定:合格可能性が高い(80%以上)
  • B判定:合格可能性がある(60〜80%)
  • C判定:努力次第(40〜60%)
  • D判定:かなり努力が必要(20〜40%)
  • E判定:合格可能性が低い(20%以下)

実は、この合格可能判定は単純なSSよりも精度が高いことが多いのです。なぜなら、内申点の要素も加味しているからです。

合格可能判定の活用法

合格可能判定は次のように活用しましょう。

第一志望校がC判定以下の場合は、次の3つの選択肢があります。

  1. 現在の志望校に向けて学習計画を見直す
  2. 志望校を現在の学力に合ったところに変更する
  3. 併願校を慎重に選ぶ

私の経験では、C判定からA判定まで上げた生徒は数多くいます。諦める必要はありません。ただし、現実を直視することも大切です。

ある保護者から「うちの子は内申ランクがAなのに、なぜ志望校がC判定なんですか?」という質問をいただいたことがあります。

それは、内申ランクだけでなく、実際の試験で得点できる力(当日点)も重要だからです。合格可能判定は、その両方を考慮しているのです。

道コンで見るべき重要指標③:得点分布と弱点分析

SSや合格可能判定と並んで重要なのが、科目ごとの得点分布と弱点分析です。道コンの個人成績票には、科目ごとの得点率や、さらに細かい単元ごとの正答率が示されています。

これを活用しない手はありません。

科目別の得点分布と弱点分析のグラフ例えば、数学の得点が低い場合、どの単元が特に弱いのかを把握できれば、効率的な対策が可能になります。「数学全体が苦手」ではなく、「関数の応用問題が弱点」というように具体的に把握できるのです。

得点分布の活用法

得点分布は次のように活用しましょう。

  • 得点率70%以上の科目・単元:すでに定着している(維持が必要)
  • 得点率50〜70%の科目・単元:あと一歩(集中的な強化で大きく伸びる)
  • 得点率50%未満の科目・単元:基礎から見直す必要あり

特に注目すべきは、得点率50〜70%の「あと一歩」の領域です。ここを集中的に強化することで、最も効率よく総合点を上げることができます。

私が指導してきた生徒さんの中で、数学が苦手だったBさんの例を紹介します。

Bさんは数学全体の得点率が45%でしたが、単元別に見ると「図形」が25%、「方程式」が60%、「関数」が50%でした。そこで「図形」の基礎から徹底的に見直し、「方程式」と「関数」は応用問題を中心に強化しました。

結果、3ヶ月後の道コンでは数学全体の得点率が65%まで上昇。SSも5ポイント上がりました。

このように、得点分布を詳細に分析することで、効率的な学習計画を立てることができるのです。

道コンの結果を最大限に活かす方法

ここまで道コンで見るべき3つの重要指標について説明してきました。では、これらの情報をどのように活用すれば良いのでしょうか?

具体的な活用法を4つご紹介します。

①定期的な受験で変化を追跡する

道コンは年に複数回実施されています。できれば全ての回を受験して、SSや得点の推移を追跡しましょう。

一度の結果だけでなく、その変化を見ることで、学習の効果や今後の見通しがより明確になります。

「うちの子のSSが3ポイント上がった!」

これは大きな進歩です。逆に下がっている場合は、学習方法の見直しが必要かもしれません。

②志望校選びの指針とする

合格可能判定は、志望校選びの重要な指針になります。

第一志望がD判定やE判定の場合、無理に挑戦するよりも、B判定やC判定の学校を第一志望に変更することも選択肢の一つです。

また、複数の志望校について判定を確認し、「チャレンジ校」「確実に受かりたい学校」「滑り止め校」をバランスよく選ぶことが大切です。

③弱点を集中的に強化する

得点分布から弱点を特定したら、それを集中的に強化しましょう。

特に、次の点に注意してください。

  • 得点率50〜70%の単元を優先的に強化する
  • 得点率50%未満の単元は基礎から見直す
  • 得点率70%以上の単元は維持するための復習を定期的に行う

限られた時間の中で効率よく学力を上げるには、「何を」「どのように」強化するかの戦略が重要です。

④専門家のアドバイスを受ける

道コンの結果を自己分析するのは難しいこともあります。そんなときは、学校の先生や塾の講師など、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

「この単元がなぜ苦手なのか」「どんな対策が効果的か」など、経験豊富な専門家からの具体的なアドバイスは非常に価値があります。

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私自身、30年以上にわたり多くの生徒さんの道コンの結果を分析してきましたが、同じSSでも生徒によって弱点や対策は大きく異なります。個々の状況に合わせたアドバイスが重要なのです。

よくある質問と回答

最後に、保護者の方からよくいただく質問とその回答をご紹介します。

Q1: 道コンは必ず受けるべきですか?

北海道の公立高校を志望するなら、ぜひ受けることをおすすめします。道コンは北海道最大の模試で、30年以上の実績があり、合格判定の精度が高いからです。

特に、内申点だけでは見えない「本当の学力」を客観的に把握できる貴重な機会です。

Q2: いつから受け始めるべきですか?

理想的には中学1年生の後半から定期的に受け始めることをおすすめします。中3になってからでも遅くはありませんが、早めに自分の立ち位置を知ることで、効率的な受験対策が可能になります。

Q3: 道コンの結果が悪かった場合、どうすればいいですか?

まずは落ち込まずに、結果を冷静に分析しましょう。特に得点分布から弱点を特定し、それを集中的に強化する計画を立てることが大切です。

また、一度の結果だけで判断せず、次回に向けて具体的な目標(「数学のSSを3ポイント上げる」など)を設定することをおすすめします。

Q4: 内申点と道コンの結果に大きな差がある場合は?

内申点が高いのに道コンの結果が思わしくない場合は、実際の入試問題への対応力を強化する必要があります。逆に、内申点が低いのに道コンの結果が良い場合は、日頃の授業態度や提出物などを見直してみましょう。

いずれにせよ、入試では内申点と当日点の両方が重要ですので、バランスよく対策することが大切です。

まとめ:内申ランクだけに頼らない受験戦略を

今回は、内申ランクだけでなく、道コンで見るべき本当に重要な学力指標について解説しました。

内申ランクは確かに重要ですが、それだけでは本当の学力や合格可能性を正確に把握することはできません。道コンのSS、合格可能判定、得点分布という3つの指標を総合的に分析することで、より効果的な受験対策が可能になります。

私は30年以上にわたり、多くの生徒の受験指導に携わってきました。その経験から言えることは、「客観的なデータに基づいた戦略的な学習」が合格への近道だということです。

道コンの結果を最大限に活用し、お子さんの「本当の学力」を正確に把握した上で、効率的な学習計画を立ててください。そうすれば、志望校合格への道はより確かなものになるでしょう。

最後に、受験はゴールではなく、お子さんの将来への通過点に過ぎません。結果だけにとらわれず、学ぶ楽しさや成長する喜びを大切にしながら、受験に向き合っていただければと思います。

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内申ランクがボーダーランクに足りなくても合格する生徒さんはたくさんいます。
やり方・入試戦略を変えるだけで実力を伸ばす生徒さんは少なくありません。
びっくりするような逆転合格する生徒さんが多いのが、「合格親方」と呼ばれるようになったきっかけです。