
三者面談の重要性と基本的な心構え
夏休みを目前に控えた時期に行われる三者面談。お子さんの学校生活や進路について話し合う大切な機会です。短い時間の中で有意義な話し合いをするためには、親としての準備が欠かせません。
三者面談は「生徒・保護者・先生」の三者が集まり、学校生活や成績、今後の進路について話し合う場です。多くの場合、学期末の放課後に実施され、時間は10〜15分程度が一般的です。この短い時間を最大限に活用するためには、事前の準備が何よりも重要になります。
私が30年以上の教育現場での経験から言えることは、三者面談の目的は生徒の意志を尊重しながら、保護者と先生が協力して最適な進路をサポートすることにあります。ここでの会話が、お子さんの将来を大きく左右することもあるのです。

では、どのように準備すれば実りある三者面談になるのでしょうか?
学年別に異なる三者面談の内容と準備ポイント
三者面談は学年によって話し合う内容が大きく変わります。お子さんの学年に合わせた準備をしておくことで、限られた時間を有効に使うことができます。
中学生活のスタート地点である1年生、学習が難しくなる2年生、受験を目前に控えた3年生。それぞれの段階で必要な準備と心構えを見ていきましょう。特に受験生を持つ親御さんは、この面談が志望校選びの重要な機会になることを覚えておいてください。
中学1年生の三者面談で聞かれること
1年生の三者面談では、主に学校生活への適応状況が話題の中心になります。「学校生活はどうですか?」「授業についていけていますか?」といった質問が多く出されるでしょう。
また、成績状況や得意・苦手科目についても話題になるため、家庭での学習態度や習慣についても聞かれることがあります。
親として準備しておきたいのは、お子さんの日々の様子をよく観察しておくことです。「学校での出来事をどれくらい話してくれるか」「友人関係は良好か」「宿題や予習・復習にどれくらい時間を使っているか」などを把握しておきましょう。
また、お子さんの得意科目・苦手科目を把握し、どのようなサポートが必要かを考えておくことも大切です。家庭での学習環境に問題はないか、スマホやゲームの使用時間のルールは適切かなども振り返っておくとよいでしょう。
中学2年生の三者面談で聞かれること
2年生になると、進路に直結する話が出てくることもあります。この時期の三者面談では、2年生になっての生活態度についてだけではなく、具体的な志望校や進路の方向性がテーマになってくることもあります。
また、2年生の後半からは多くの学校で「進路希望調査票」の提出が求められます。この調査票は、志望校を記載するだけでなく、保護者の意見を記入する欄もあります。家庭で十分に話し合い、お子さんの意志を尊重しつつ、親としてどうサポートできるかを具体的に考えることが大切です。
中学3年生の三者面談で聞かれること
3年生の三者面談は、いよいよ受験を目前に控えた具体的な進路の調整を行う場でもあります。この時期の面談では、志望校の確定や受験方法の選択が中心となります。
一般入試、推薦入試といったさまざまな受験方式について、お子さんがどの方法を選択するかを確認していきます。進路希望調査票に基づいて話が進むことが多く、場合によっては成績や模試の結果から志望校の変更を勧められることもあるでしょう。
保護者として、この時期の三者面談において重要なのは、お子さんがどの受験方法を選択し、どう進めていくのかをしっかり把握することです。

普段から親子で志望校などについて話ができていると良いですね。
三者面談で成功する親の心得と準備
三者面談を実りあるものにするためには、親としての心構えと具体的な準備が欠かせません。面談の場では、お子さんの成長を支えるパートナーとしての姿勢を忘れないようにしましょう。
私が多くの親子との相談で感じるのは、成功する面談と失敗する面談の差は、事前の準備にあるということです。では、具体的にどのような準備をすればよいのでしょうか。
事前に家庭で話し合っておくべきこと
三者面談の前に、お子さんと家庭で話し合っておくことが重要です。「学校生活で楽しいこと・大変なこと」「勉強で困っていること」「将来の夢や目標」などについて、リラックスした雰囲気で会話してみましょう。
特に志望校や進路については、お子さんの本音を引き出すことが大切です。「なぜその学校に行きたいのか」「どんな仕事をしたいのか」など、具体的なビジョンを聞いてみてください。
また、面談で先生に聞きたいことをリストアップしておくと良いでしょう。「苦手科目の効果的な勉強法」「志望校に向けた具体的な対策」など、明確な質問を用意しておくことで、限られた時間を有効に使うことができます。
面談当日の心構えとポイント
面談当日は、時間に余裕を持って学校に向かいましょう。慌てて到着すると、冷静な判断ができなくなることがあります。また、メモを取る準備も忘れないようにしてください。
面談では、まずはお子さんの良いところや成長した点について先生から話を聞きましょう。その上で、気になる点や心配なことを率直に相談してください。ただし、お子さんの前でネガティブな話ばかりになると、モチベーションが下がってしまうことがあるので注意が必要です。
どうしますか?
面談中は、お子さん自身の発言を尊重し、親が全て答えてしまわないように気をつけましょう。お子さんが自分の考えを述べる機会を作ることで、自主性や責任感が育まれます。
三者面談でよくある失敗パターンとその対策
三者面談では、親の何気ない言動がお子さんのやる気を削いでしまうことがあります。長年の教育現場での経験から、よくある失敗パターンとその対策をお伝えします。
これらの失敗を避けることで、お子さんとの信頼関係を保ちながら、建設的な面談にすることができるでしょう。特に受験を控えた時期は、親子の関係性が重要になります。
完璧を求めすぎる
子どもは未熟です。次の予定を考慮して宿題に取り組む、丸つけの後に解き直しまでする、翌日の授業の準備を前日にしておくといった私たち大人からすると当たり前のことが、子どもにとっては当たり前にできません。
大人でさえ難しいスケジュールをこなすことを要求したり、中途半端を許さずに完璧を追求するスタンスを取ってしまったりしがちです。こういった言動は子どものやる気を木っ端みじんにする最悪のアクションです。
完璧主義に陥らないようにするためには、子どもの良いところ、これから伸ばしていきたいところを意識的に探すようにすることが重要です。アドラー心理学でも「注目した行動が増える」といわれているように、お子さんの良い行動に注目すれば、良い行動が増えていくでしょう。
他の子と比べる
「同級生の〇〇ちゃんはもうここまで進んでいる」「お兄ちゃんが受験生だった時はできていた」など、本人と他の子を比べるのは良くありません。
たいていの子は他の子と比べられると劣等感を抱いてしまいます。そして何より、それを言った親に対して怒りを感じます。
それよりも「前回の模試では解けなかった問題が今回は解けた」「1ヶ月前は苦手に感じていたこの単元が得意になった」など、過去の自分と今の自分を比較して、成長や課題に気づくことの方が断然意味があります。
親ばかり話す
三者面談の場で、親が一方的に話し続けてしまうケースがあります。お子さんの発言機会を奪ってしまうと、自分の意見や考えを表現する力が育ちません。
面談では、まずお子さん自身に考えを述べてもらい、それを受けて親や先生が意見を言うという流れが理想的です。お子さんが自分の言葉で話すことで、自己理解が深まり、主体性も育まれます。
もし面談中にお子さんが黙ってしまったら、「〇〇はどう思う?」と優しく問いかけてみましょう。急かさず、じっくり待つことも大切です。

お母さんだけが話して終わりということにならないように注意が必要です。
面談後のフォローアップが最も重要
三者面談が終わった後のフォローアップこそ、実は最も重要です。面談で話し合ったことを家庭でどう実践していくかが、お子さんの成長や進路実現のカギとなります。
私の経験では、面談後の親子の関わり方が変わることで、驚くほど子どもが変わることがあります。具体的なフォローアップの方法を見ていきましょう。
面談内容の振り返りと目標設定
面談後は、話し合った内容をお子さんと一緒に振り返りましょう。「先生からどんなアドバイスがあったか」「これからどう取り組んでいくか」などを確認します。
その上で、具体的な目標を設定します。例えば「毎日30分は英単語の勉強をする」「週末は模試の復習に2時間使う」など、明確で達成可能な目標が効果的です。目標は紙に書いて、見える場所に貼っておくと良いでしょう。
目標設定の際には、お子さん自身が「やりたい」と思える内容にすることが大切です。親が一方的に決めた目標では、長続きしません。
継続的なサポートと見守りの姿勢
目標を設定したら、その達成をサポートする環境づくりを心がけましょう。静かに勉強できる空間の確保、必要な参考書や問題集の準備など、物理的な環境を整えることも親の大切な役割です。
また、定期的に進捗を確認しますが、監視ではなく見守りの姿勢が重要です。「どう進んでる?」「何か手伝えることある?」と優しく声をかけ、必要なときにサポートする姿勢を示しましょう。
失敗や挫折があっても責めず、「次はどうしたらいいか一緒に考えよう」と前向きな声かけを心がけることで、お子さんは安心して挑戦し続けることができます。
まとめ:三者面談を成長の機会に
夏休み前の三者面談は、お子さんの学校生活や進路について深く理解し、今後の方向性を確認する貴重な機会です。事前の準備、当日の心構え、そして面談後のフォローアップまで、一連のプロセスを大切にすることで、お子さんの成長を効果的に支援することができます。
お子さんの意志を尊重しながらも、親として適切なサポートを提供する。その絶妙なバランスが、三者面談成功の鍵となるでしょう。
面談は単なる学校行事ではなく、お子さんの未来を共に考える大切な機会です。この機会を最大限に活かし、お子さんの可能性を広げるサポートをしていきましょう。
より詳しい教育相談や進路指導については、情報を発信していますので、ぜひご覧ください。